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加須が舞台のミステリー『少年探偵のデジタル・スケッチパッド』作者にインタビュー!

2026.05.25

皆さんは『少年探偵のデジタル・スケッチパッド』という作品をご存知でしょうか?

最近ネットニュースなどでも「図書館で予約待ちが発生しているご当地ミステリー」として取り上げられ、地元加須を中心にじわじわと話題を集めている作品です。

地元の書店「カサモ関口商店」さんや、「ブックセンターやまと」さんでは、店頭販売も始まりました。


【1巻あらすじ】

東京から埼玉県加須市へと引っ越してきた、コミュニケーションが苦手な少年・海堂 悠人(かいどう ゆうと)。

彼が唯一心を開けるのは、父から託された試作デバイス「デジタル・スケッチパッド」だけだった。

新しい街で出会ったのは、こいのぼり職人の祖父を慕う天真爛漫な少女・野口 穂乃香(のぐち ほのか)。

彼女が見せてくれた一枚の『鯉のぼりの設計図』をきっかけに、悠人の退屈な日常は静かに動き出す。

図面に隠された小さな違和感。 のどかな田園都市の裏側で見え隠れする不穏な影。

それは、街全体を巻き込む「巨大な秘密」への入り口だった――。



一体どんな方が、どんな想いでこの作品を作っているのでしょうか?

今回は、本作を執筆したクスノキ出版の楠柾(くすのきまさき)さんに直接インタビュー!
作品に込められた思いと、今後についてたっぷりお話を伺いました。

地元に広がる温かい輪。加須市内での反響への手応えと今の想い

インタビュアー(ごまちゃん): 『少年探偵のデジタル・スケッチパッド』が今、加須市内でとても大きな反響を呼んでいます。

図書館の貸出予約や書店での販売など、地元で話題になっている状況について、楠さんご自身はどのように受け止めていらっしゃいますか?


楠さん: 正直、これほど温かいご縁が繋がって、たくさんの方に読んでいただけるとは思っていなかったので本当に嬉しいです。

実際に読んでくれた地元の方から「すごく面白かったよ、ありがとう」と直接声をかけていただいたり、喜んでくれたというお話を伺ったときは、本当に書いてよかったなと胸が熱くなりました。


ごまちゃん: 最初は、市内の図書館に本を売り込みにいく活動からスタートされたそうですね。


楠さん: そうなんです。最初は「まずは地元の子どもたちに読んでほしい」という一心で、市内の4つの図書館に直接足を運び、資料を携えて本を置いてもらうお願いをすることから始めました。

それが今では、図書館の方から「各館に置きますよ」と快く声をかけていただけるようになり、さらには図書館のお祭りでイベントを企画しないかと誘っていただいたりしています。


ごまちゃん: 図書館だけでなく、市内の本屋さんや道の駅での販売や、ラジオ局での紹介など、本を手に取れる場所や露出も増えていますね。


カサモ関口商店さんの店内特設コーナー。

楠さん: 本当にありがたい限りです。「カサモ関口商店」さんや「ブックセンターやまと」さんでの店頭販売をはじめ、「加須市物産観光協会」さんや、「道の駅かぞわたらせ」さんにも本を置いてもらえることになりました。

先日は「FMわたらせ」さんにも出演させていただく機会があり、本当に多くの地元の方々と繋がっていくのを実感しています。

楠さんが『少年探偵のデジタル・スケッチパッド』を書き始めたきっかけ

ごまちゃん: そもそも、楠さんがこの作品を執筆し、本として形にしようと思われた「きっかけ」は何だったのでしょうか?


楠さん: 実は、私自身、加須で生まれてずっとここに住んでいるんですが、若い頃は地元に全然興味がなかったんです(笑)。「何もない街だな」くらいに思っていました。

でもある時、ふと興味を持って加須の歴史やスポットを調べてみたら、面白い発見や魅力が足元にゴロゴロ転がっていることに気づいたんです。

「みんな、近すぎて気づいていないだけなんだ!」と驚きました。

自分自身が感じたように、地元の方々が地元を見つめ直すきっかけになる本を届けたい。それが、この物語を書き始めた原点です。

加須に住む子どもたちに「実は自分たちが住んでいる場所ってこんなに面白いんだよ」と伝えたい。

みんなが日常の足元にある魅力に気づき、地元について考えるきっかけになる本を発信していきたいと思ったのが、執筆の強い動機になりました。

現代の子どもたちを惹きつけるテーマ選びとリアルの追求

ごまちゃん: このお話を描くにあたって、「少年探偵」というジャンルを選ばれた理由はどこにあるのでしょうか?


楠さん: 子どもたちに本を読んでもらうために、「どうすれば自分ごととして感情移入してくれるか」を徹底的に考えました。

今流行りの異世界ファンタジーなども検討したのですが、それだと加須の街が舞台である意味が薄れてしまいます。

子どもたちが主人公たちに共感し、かつ地元に興味を持つための最高のパッケージが「少年探偵」という形でした。


ごまちゃん: なるほど。そして作中には、タイトルにもある「デジタル・スケッチパッド」というユニークなアイテムが登場しますね。


物語のキーとなる「デジタル・スケッチパッド」(少年探偵のデジタル・スケッチパッド 漫画 第1巻より)

楠さん: 今の子どもたちは、学校でも家でも当たり前にタブレットやデジタル機器を使いこなしていますよね。

だからこそ、ただのご当地歴史モノにするのではなく、現代の子どもたちが日常的に使っているデジタルガジェット(の、最先端バージョン)を登場させ、それを使って地元の歴史(アナログ)の謎を解き明かしていく、という形にしました。

この掛け合わせにすることで、今の子たちがワクワクしながら、知らず知らずのうちに地元の奥深い世界へ引き込まれていく仕掛けになっています。


ごまちゃん: ターゲットとなる読者層を意識したテーマ選びをされたんですね。デジタル・スケッチパッドがあることで少しSFな雰囲気も合わさって、とてもワクワクする世界観だと思います。
その反面、描かれる加須の街の描写は非常にリアルなのも印象的です。


楠さん: そこは、私が執筆の上で一番エネルギーを注いでいる部分ですね。

私の中では、ネットを使って体系的に調べる「デジタルな手法」と、自分の足で歩いて生の声を聞く「アナログな手法」の掛け算がすごく大事だと思っています。

今の時代、ネットを使えば加須の歴史や情報を瞬時に集めることができますから、それもお話を練る上での重要な情報として活用しています。

ただ、それだけだとどうしても平坦なものになってしまう。

だからこそ、私は実際に現地に行って、そこに暮らす方に直接お話を聞きにいくんです。

ネットの検索窓には絶対に引っかからない「地元の方の生の声」や、その場所の空気を吸わないと感じられない「独特の空気感」。

そうした一次情報のアナログな掛け算があって初めて、物語に血が通い、リアリティが何倍にも膨むと思っています。


ごまちゃん: だからこそ、地元の方々が読むと「あ、あそこだ!」と引き込まれるリアルさがあるんですね。

「困ったときは大人を頼っていい」作品に込めたメッセージ

ごまちゃん: 物語の中で、主人公の少年たちが事件や謎に直面した際、自分たちだけで解決しようとするのではなく、お父さんなど身近な大人たちを頼りながら解決していく描写が非常に印象的でした。


楠さん: そこは本当に、この作品の大きな特徴であり、一番注目してほしい部分です。

子どもが活躍する物語やアニメだと、どうしても「子どもたちだけで突っ走って、大人に隠れて事件を解決する」という展開になりがちですよね。それって現実の社会ではちょっと難しいですし、少し危ない部分もあります。

私が描きたかったのは、大人にも協力してもらって、みんなで力を合わせて物事を解決していくことなんです。

今の時代を生きる子どもたちに向けて、「何か困ったことや、自分たちだけでは解決できないことがあったら、決して自分たちだけで抱え込まなくていいんだよ」「周りの大人を頼っていいんだよ」と、物語を通じて伝えたい。

大人を頼ること、相談することは、恥ずかしいことでもズルいことでもないんだと感じてもらいたいんです。


ごまちゃん親心というか、大人が子どもを心配する気持ちがすごく表れていると感じます。


楠さん:  そうですね。実は、主人公のお父さんの年齢設定を43歳にしているんですが、これは私の実年齢と同じなんです(笑)。

私も子どもがいますから、親から見た子どもへの目線だったり、私自身が普段子どもに対して思っていること、そして私自身の人生の体験談をお父さんのセリフや行動にそのまま重ね合わせています。

子どもをそっと見守り、いざという時に優しく支えてくれる大人の存在の温かさも、物語から感じ取ってもらえたら嬉しいですね。


主人公たちを支える大人の暖かさにも注目(少年探偵のデジタル・スケッチパッド 漫画 第1巻より)

作品を多くの人に読んでもらうための、地道な挑戦

楠さん:もともとこの作品は半分趣味で執筆していたもので、アマゾンの電子書籍だけで出そうと思っていたんです。

でも、せっかく加須を舞台にした本を書いたんだから、インターネットや画面の向こう側の世界だけで終わらせたくなかった。

ちゃんと手で触れられる紙の本にして、加須の方々に届けたいという思いが日に日に強くなっていきました。


ごまちゃん: ですが、印刷会社さんにお願いして実際に紙の本を作るとなると、どうしても数百冊単位とかになって、大変だったのではないでしょうか。


楠さん: それが今では、受注販売のような形で一冊単位で印刷・製本して届けてくれるシステム(プリントオンデマンド:POD)があるんです。

そのおかげで、余分な在庫を一切抱えることなく紙の本を作ることにチャレンジできました。実際に刷り上がった本が初めて手元に届いたときは、本当に感慨深かったですね。


ごまちゃん: 自分が作ったものが形になって、実際に手にとって触れるのって、すごい嬉しいことですよね。


楠さん: はい、本当に。そして、これを何としても地元の子どもたちに読んでもらいたくて、すぐに説明資料と本を準備して、市内の4つの図書館を一つひとつ直談判して回りました。

ありがたいことに快く受け入れてもらえて、また多くの方々が手に取ってくださいました。



北川辺図書館に配架された「初版」第1巻。
 

「カサモ関口商店」さんや「ブックセンターやまと」さんなどの本屋さんにも自ら本を持ってご挨拶に伺いました。

「加須市物産観光協会さん」や「道の駅かぞわたらせ」さんもそうです。そうやって一つひとつ地道に足を運んだ結果、お店や施設に置いていただけるようになり、じわじわと地元の輪が広がっていったんです。


ごまちゃん:ただ本を刷って卸すだけではなくて「なぜその作品を読んでほしいのか」という熱い想いを、自ら足を運んで伝えて回られたのですね。


楠さん: そうなんです。こうした「人と人とが繋がる血の通ったプロセス」は、大手の出版社ではなかなかまねできないと考えています。

これからも、より多くの加須の方々に読んでもらえるよう、こうして自分の足で直接想いを届ける活動を大切にしていきたいと考えています。

全10巻で加須を網羅!楠さんが描く少年探偵たちの未来

ごまちゃん: 最後に、今後の作品の展開について教えてください。


楠さん: 「少年探偵のデジタル・スケッチパッド」は、すでに全10巻の構想が固まっています。

小学5年生の春から、中学1年生の夏までの季節の移ろい(春夏秋冬、春夏)を描きます。

1巻で加須中心部、2巻で千方神社・花崎、3巻の騎西、4巻の大利根、5巻の北川辺……と、巻を追うごとに加須市全体をぐるりと一周する予定です。

現在は2巻まで発売中です。

ごまちゃん: 次は第3巻ですね!楽しみだなぁ。


楠さん: 実は、当初の予定では今月(2026年5月)に第3巻を発売する予定だったんです。作品自体はもう完全にできあがっているんですよ。ですが、もう一つやりたいことがあって、発売を延期しているんです。


ごまちゃん: というのは?


楠さん: 「少年探偵のデジタル・スケッチパッド」を、全国展開しようと企画中です。

加須に住んでいない方にも、この物語のこと、加須のことを知ってもらいたいと思って。今は、全国展開のためにクオリティをアップしたいため、1巻と2巻を全面リライト中です。


ごまちゃん: 全国展開ですか!加須の魅力が、より多くの方々に伝わるといいなと思います。
 

楠さん: はい!そのため今は新刊が少しお預けになっているのですが、もう少々お待ちいただければと思います!

ちなみに、10巻の構想の中では、前半戦の大きな締めくくりとなる「6巻」に、物語上の非常に大きくて劇的なクライマックスを用意しています。

ただのご当地作品だと思って読んでいると、いい意味で皆さんの期待を大いに裏切ることになると思います(笑)。

すでに1巻や2巻に、そのクライマックスに繋がる「伏線」を至る所に散りばめています。


ごまちゃん: 伏線、ですか?


楠さん: そのうちの一つが、表紙にあります。ぜひ、1巻と2巻以降の表紙をよ~く見比べてみてください。

主人公の悠人君(デジタル・スケッチパッドを持つ男の子)に注目です。これ以上は、ネタバレになってしまうので言えません(笑)。


他にも物語中にいくつもの仕掛けを用意しています。

全10巻を読み終えた時に「そういうことだったのか!」とパズルのピースがすべてハマる快感をぜひ味わってほしいと思っています。

本作は子ども向けに制作していますが、大人の方にもぜひ読んでもらいたいと思っています。

地元のさまざまな部分をリアルにお届けするので、きっと自分の住んでいる地域の面白い発見や魅力があると思います。

ぜひ一度『少年探偵のデジタル・スケッチパッド』をお手に取っていただければ幸いです。
 



楠さん、ありがとうございました!

地元の魅力に気づくきっかけを自らの手で創り出す楠さん。その思いに、グっと胸が熱くなりました。

加須の魅力と謎が詰まった『少年探偵のデジタル・スケッチパッド』シリーズは、現在1巻・2巻が市内4つの図書館で貸出中です。

また、「カサモ関口商店」さん、「ブックセンターやまと」さん、「道の駅かぞわたらせ」さん、またはAmazonで発売中です。この機会に、ぜひ読んでみてください!

ごまちゃん@はなまる加須
 



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WRITERこの記事の投稿者

はなまる加須事務局

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